【Interview】つむぎ舎「私たちの仕事は”火葬”だけでなく”葬儀”を行うこと」

記事のもくじ
さいたま市を拠点にペットのご葬儀サービスを専門に行う「つむぎ舎」。
動物の保護活動を行っている代表の上田みずほさんと、葬儀コーディネーターの吉野健太郎さんの二人で立ち上げたつむぎ舎はどのようなペット葬儀社なのか?
今回は、現場担当の吉野健太郎さんにお話を伺いました。
保護活動と介護の経験を活かして
吉野さん(以下、吉野):つむぎ舎は、動物の葬儀とはあまり関係のない、リネンやコットンの植物由来原料を使ってものづくりを行うROUGH WORK STOREという小さな工房からはじまりました。
代表の上田は、ものづくりと並行して犬猫の保護活動にも携わっていたのですが、そこで出会った方々から保護した犬猫たちにと、首輪やリードのご注文をいただくことが増えました。
保護活動を通じて、動物の命と真剣に向き合う素敵な方々の生きざまをたくさん目の当たりにしていくうちに、動物たちと関わる仕事がしたいと思うようになりました。
一方で、私(吉野)は、前職は介護に携わっており、高齢の方の看取りケアを多く経験し、死について考えることがしばしばありました。
そして、私たち自身も犬猫の里親となり、老犬の看取りや、障がいのある猫の介護生活、望まぬ形での別れなど、悲しみや苦しい経験も重ねる中、次第に動物と暮らす人々の支えになることをもう少し具体的に生業としていきたいと考えるようになりました。
そうした2人のプロセスと、友人から訪問葬儀で愛犬とのお別れを行った話を聞いたことが合わさって、自ずと始めたというのが開業の経緯です。
吉野:そうですね~。実はお恥ずかしながら、つむぎ舎を始める前はペット葬儀というモノがある事を知らなかったんです。
私は実家が山梨で、幼少の頃から動物と一緒に暮らしていたのですが、亡くなった時は自宅の庭に土葬するというのが当たり前で、火葬するという概念がなかったのです。
なので、上田からペット葬儀という仕事がある事を聞いた時は、衝撃を受けたのですが…この仕事は自分に合っているんじゃないかと直感的に感じました。
そして、この仕事を始めるために、具体的な準備や学びを開始しました。
お別れの時間に関わる事、火葬に関わる事、お骨に関わる事など、様々な事を学びながら、ペット葬儀業の良き先輩にも恵まれ半年の準備期間を経て、2018年6月につむぎ舎として正式にご葬儀のサービスを開始しました。
訪問火葬車の課題
吉野:ギャップという訳ではないですが…訪問火葬について気になる事はあります。
訪問火葬は、火葬炉を積んだ車でお客様のご自宅まで訪問し、葬儀・火葬をするのですが、業界的に「訪問火葬はグレーなビジネス」だと一部から言われています。
そう言われてしまうのには、以下の理由が挙げられるように思います。
②火葬中の騒音について
③火葬中の臭いについて
④火葬場所について
⑤市区町村の条例について
これら5つの課題は仕組みを整えていくことと、業界としての信頼を市民、行政の双方から得ていくことによって解決できるはずなのですが、知識不足やモラルの欠如なのか、問題を起こしてしまう業者がいるのも事実だと思います。
つむぎ舎では、煙や炎、臭いを出さないことと条例の遵守は最も基本のことと考えています。
火葬場所については稼働エリア的に施主様自宅敷地内が割合的に多いとはいえ、都内からのご依頼などでは判断が難しいことも正直あります。
透明性ある業界となっていくためには、火葬場所に関わる仕組み作りが肝要だと思っています。
資格不要でも自ら学ぶ事が大切
吉野:そうですね。未経験でペット葬儀を始める方は多いと思います。
実際、私も未経験からスタートしていますので、未経験で始める事自体が悪いとは思いません。
ペットの訪問火葬は大抵一人でスタートするケースが多いですし、上司が業務を手取り足取り教えてくれる様なケースは稀だと思います。
だからこそ自ら学び行動していかないといけないと思います。
私の場合は「火葬協会 東日本」という協会に所属させていただき、既に何十年もこの業界で活躍されている先輩方からの学びを得たり、協会員と共に未来のあるべきペット葬儀業の仕組み作りに取り組んだり、「ペット火葬管理士」資格を得ました。
また「一般社団法人 日本動物葬儀霊園協会」が提供する動物葬祭ディレクターの資格も取得しています。
協会に所属したり、資格を取得する事は必須ではないとは思いますが、困った時には助け合い、お互いを高め合える仲間をつくることは大切な事だと思います。
私はこの業界に携わってまだ4年目ですので、偉そうなことは言えないですが、訪問火葬がグレーというイメージを払拭し、透明性があってクリーンなモノとして捉えられるように活動していきたいと思っています!
路上で火葬しない仕組みづくりに向けて
吉野:はい。その通りです。これは私の夢というか大きな課題だと思っているのですが…
訪問火葬車は「路上では火葬をしない」という事を将来的に実現できるようにしていきたいんです。
例えば…
✓行政に訪問火葬の必要性を理解してもらい、全国各地に火葬できる場所を用意してもらう。
✓民間においても宗教施設などと連携し、火葬場所を確保する。
✓その場所を使う為の条件を設けて、火葬する際に炎・煙・臭い・騒音を出さないように徹底する。
そして、その場所を使い続けるために我々は利用料を支払う。
このような事が現実的かどうかは分かりませんが、行政を巻き込んで対策していかないと本質を変える事は出来ないと思っています。
吉野:そうですね。訪問火葬車での火葬が出来ないエリア(市区町村)もあれば、なんの条例の無いエリアもありますからね。
その事を知らずに(調べずに)火葬してしまっている業者もいると思いますし、そのいった業者が増えると、条例は全国的にますます厳しくなっていくと予想しています。
最悪の場合、訪問火葬がサービスとして成り立たなくなってしまう可能性もあると思っています。
そうなる前に、訪問火葬もペット霊園の様に地域に根ざした運営を行い、安心や信頼感を施主様と世間全体に対して与えられるような存在になっていかないといけないと思っています。
火葬だけでなく、葬儀を
吉野:はい、私もそう思います。
私たちの仕事は「火葬」を行うことだけではなく、悲しみと不安の中にある方へ「葬儀」を通して安心を得ていただく役割があると開業当初より考えてきました。
火葬も葬儀も同じように捉えられるかもしれませんが、別の概念があるんです。
「火葬」はご遺体をお骨にすることを指す言葉で、「葬儀」は火葬を含む、弔いの行為全般を指す言葉です。
家族を亡くした時には、大きな喪失感と、亡くなるプロセスによっては後悔や自責の念でいっぱいになることがあります。
だから、様々な感情が渦巻く最中にも「しっかり見送ってあげられたね」という実感を得ていただけるようなサポート、つまり「葬儀」をしたいと思っています。
悲しみの中にあってもちょっとホッとできたり、安心したり、張り詰めていたものから離れることができたり…
家族を亡くしたみなさんの、下支えになりたいと思っています。
その想いでお客様と接する事、火葬を含めて責任ある仕事を積み重ねることで、安心・信頼を生み出していくのではないかと考えています。
ゆっくりとお別れしていただきたいから…
吉野:はい。安心プランは、より時間をかけて見送りたい、家族みんなが揃う日に見送りたい、という方のための2日間に渡るプランです。
安心プランでは、葬儀の日時を決める前に私がお客様のご自宅に訪問させていただき、祭壇をお作りしています。
当社がご用意するバスケット棺に納棺して、体を拭いたり、お花を飾ったり、大好きだったご飯やおやつを置いて、心を落ち着かせていただく時間をお作りしています。
そして、肉体との別れである火葬日に向けて気持ちを作っていただく事がご家族様にとって大切な時間だと考えています。
ペットが亡くなって、慌てて火葬して、気づいたらお骨になっている。
このような流れでペットとのお別れをするご家族様が多くいらっしゃると思います。
長年連れ添った大切な家族と、慌ててお別れして欲しくないという思いもあって安心プランを作りました。
吉野:そうですね。
安心プランは2日間に渡ってご対応させていただくプランの為高額です。
そういう意味では全てのご家族様にご利用いただけるものでもありません。
しかし、このようなプランを必要とされるご家族様は確実にいらっしゃいますし、実際に納得いただけるお別れの場を提供できていると思っています。
これからも、ご家族の皆様と共に、想いを詰め込んだお見送りの時間を、共につくり出していきたいと考えています。
感想
今回はつむぎ舎の吉野さんとお話をさせていただきました。
もし私がさいたま市に住んでいたら、うちの愛犬はつむぎ舎に葬儀・火葬を依頼するだろうな…と思える程、優しさや温かみのあるペット葬儀社でした。
今回コラムでは触れていませんでしたが、つむぎ舎のInstagramを皆さんに見ていただきたいです。
ペットの写真とストーリーが綴られていますが、そのストーリーは飼い主さんが書いたモノではなく、吉野さんに話したことをメモってInstagramにアップしているんです。
このような事をして頂けるのは、お客様はホント嬉しいと思います。
また、つむぎ舎のイメージビデオもYouTubeにアップされていますので、こちらでも共有します。
映像に出演しているのが吉野さんですが、温かみが伝わる良い映像ですよね~。
また、機会があれば業界の未来についても語り合いたいと思いました!
この度は、お忙しい中お時間を作っていただきありがとうございました。
つむぎ舎の詳細は以下の公式サイトをご覧ください。
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