台風15号で大破したペット霊園の復活ストーリー【日本ペットセレモ訪問レポート】
2019年9月9日に台風15号が関東に上陸し、各地で大きな被害があったことは記憶に新しいと思います。
実はその台風で大な被害を被ったペット霊園があります。
神奈川県横浜市金沢区にある「日本ペットセレモ」です。
その時の新聞記事がこちらです。
写真に写っているのが、日本ペットセレモの建物です。
3Mほどの津波が押し寄せ、1階部分は完全に破壊されています。
その惨劇から、約10ヶ月後に日本ペットセレモは完全復活するのですが、台風が直撃した日~今日までどのような思いで、どうやって復活したのか?
日本ペットセレモ代表の伊東氏に話を伺ってきました。
まずは、台風15号の影響で日本ペットセレモがどの様な被害を受けたのか?
写真で見ていただきたいと思います。
台風15号による被害がどれ程のモノだったのかは見ていただければ一目瞭然です。
建物(2階と3階)と合同慰霊碑以外は全て破壊されてしまっています。
・祭壇
・待合室
・受付
・パソコンとその周辺機器 等
台風の被害総額は1億2000万円程だと伊東氏はおしゃっていました。
幸い、お客さまが遺骨を供養している納骨堂は建物の2階にあったため、全て無事だったようです。
また、台風15号は深夜(営業時間外)に横浜市金沢区に上陸したためスタッフ含め怪我人は1人も出ていません。
それにしても、一夜にしてこのような状況になってしまうのは悪夢でしかありません。
スタッフの方は「せっかく、ここまで頑張ってきたのに…もうダメだ…」と思われたようです。
そんな日本ペットセレモですが、台風15号から約10ヶ月後の2020年8月には、現状復帰されるのです!
しかも、台風の被害前よりも、さらにパワーアップされているのです。
それがこちら!(2020年12月16日撮影)
あれだけの被害から完全復活したことはとても驚きですが、その裏では相当な苦労があったと思います。
その辺りの話を伊東氏に聞いてきました。
今回は、伊東氏と私との対話形式でお伝えしたいと思います。
私:
まず、最初に伺いたいのは、初めて現場を見た時にどのように思われましたか?
伊東氏:
被害状況についてスタッフから電話連絡があり、状況は理解したのですが、実際に自分の目で確かめるまでは半信半疑でしたが、現場に到着して愕然としました。
東日本大震災の再来かと思いました。
私:
そうですよね。いただいた写真を見る限りでは、まるで戦後にタイムスリップしたような光景ですよね。
伊東氏:
そうですね。ただし、落ち込んではいられませんので、とにかく破損物を全て撤去して、現状復帰を目指さないといけないと思いましたね。
私:
失礼な事を聞いてしまうのですが、もうダメだ…このまま復帰できないかもって思ったりしませんでしたか?
伊東氏:
いえ、全く思いませんでした。
大切なペットちゃんの遺骨を我々の納骨堂や合同慰霊碑で供養されているお客様がいますので、ペット霊園を廃業させることは絶対にしてはいけないんです。
それはどんな事があってもです。
私:
なるほどですね。ペット霊園を構えるという事はそう言った覚悟が必要なんですね。
伊東氏:
そうです。だから、このような被害があっても必ず立て直す事しか考えていませんでした。
私:
分かりました。それでは台風の被害からどのようにして現状復帰されたのかを時系列で教えてください。
伊東氏:
まずは、破損物を全て撤去するために自らも作業をしながら、重い破損物は業者にお願いして、1週間ぐらいでほぼ全て撤去することが出来ました。
週末には、地域の方やお客様がボランティアでお手伝いに来てくれたりもしました。
私:
それはありがたいですよね。破損物を撤去された次は何をされましたか?
伊東氏:
破損物は全て無くなりましたが、まだまだ営業できるような状態ではありませんでした。
そもそも、火葬炉3基が全て使えなくなりましたので、まずはお参りに来られるお客様にお供え用のお花などの販売から始めました。
私:
納骨堂や合同慰霊碑は無事だったので、お参りに来られる方はいらしたんですね。
伊東氏:
そうですね。心配で様子を見に来られる方もいました。
そして、被害から2週間経過した頃、少しでもお仕事が出来るようにと、同業の仲間から移動火葬車を借りました。
それぞれ1台ずつ移動火葬車をお借りして、2台の移動火葬車で個別一任火葬(個別一任火葬とは、お客様立会いではなく、スタッフに一任して火葬を行います)を始めました。
正直、まだまだお客様が施設に来れるような状態ではなかったため、当スタッフがお客様の元へご遺体を引き取りに行っていました。
私:
移動火葬車での個別一任火葬はどのくらいの期間やられていたんですか?
伊東氏:
大体、2ヶ月(11月下旬頃まで)は移動火葬車で火葬をしていましたね。
私:
11月下旬以降はどのようにされていたのでしょうか?
伊東氏:
11月下旬に、福岡にあるペット霊園(動愛園さん)が福岡からトラックで固定炉を運んできてくれたんです。
私:
福岡からですか!それは凄いですね。
伊東氏:
そうなんです。なので、12月からは移動火葬車2台+固定炉1基の3台体制で火葬できる状態になりました。
この頃から、立会火葬も始め、それと同時に建物などの復旧工事もスタートしました。
私:
その間はお客さまは来られてましたか?
伊東氏:
いえ、9月下旬に移動火葬車で個別一任火葬を始めたときは、1日に1~2件ぐらいです。
動物病院からの紹介なども全てストップしていましたし、HPでもそのような告知をしていましたので、リピーターのお客様のペットちゃんのみを対応していました。
私:
固定炉が1基追加され、3台体制となった12月はどうでしたか?
伊東氏:
12月からは、立会火葬もできる状態になりましたので、少しずつ宣伝もして、3台体制で月100件ぐらいは葬儀・火葬を行っていました。
私:
そうですか。それは凄いですね。
伊東氏:
ただし、施設の方の立て直しはまだまだこれからって感じでしたね。
私:
周りの方の助けもあったかと思いますが、3ヶ月足らずで火葬ができる状態まで戻したのは素晴らしいと思います!
伊東氏:
その点では皆さんに感謝しかありませんね。
私:
年明けてからはどうでしたか?
伊東氏:
1月下旬~2月上旬にガスの工事をして、2月には固定炉2基体制となりました。
そして、3月に新たに固定炉を導入しました。
私:
おー、そうんですね。3月には被害前同様に3基体制に戻ったんですね。施設の方はいかがでしょうか?
伊東氏:
施設の方は8月頃には完全復旧しましたね。
私:
本当、凄いです。でも、現実問題、復旧するために費用は相当掛かりましたよね?
その辺りは、保険などで対応できたのでしょうか?
伊東氏:
そうですね。保険以外にも、お客さまからの寄付や全国ペット霊園協会(日本ペットセレモ加盟の協会)からの義援金などもあり、何とかここまで復帰できました。
私:
スタッフの方も一安心ですね。
この状況でも、諦めずに続けられたスタッフさんも凄いですね。
伊東氏:
そうですね。だれ一人辞めることなく、ここまで支えてくれました。
彼らにもホント感謝しています。
私:
それもこれも伊東さんの人徳でしょうね。
冒頭でお話しされていた「ペット霊園はどんなことがあっても辞めてはいけない!」
これに尽きると思いました。
伊東氏:
いえいえ、当然の事ですよ。
お客様の信頼を裏切るような行為は絶対にしてはいけません。
逆に、今回の件で施設が新しくなったので、良かったですよ(笑)
私:
凄いポジティブシンキングですね(笑)
でも、今こうして新しく生まれ変わった施設でお話しできた事嬉しく思います。
そして、貴重なお話をありがとうございました。
伊東氏:
こちらこそ、ありがとうございました。
あ、それと実は撤去作業中に思ったんですが、この状況をビデオで回しておけばよかったな~と思ってたんですよ。
きっといい思い出になったな~と思いまして(笑)
私:
確かに!でも、あの状況でそんな事まで考えられるなんて、流石ですね!
以上。
今回は対話形式でお送りしましたが、いかがでしたでしょか?
逆境をものともしない精神力。そして、ポジティブ思考。
こういう熱い思いを持つ代表&スタッフがいるペット霊園で葬儀・火葬したいですよね。
日本ペットセレモの益々のご活躍を期待してコラムを終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
ペット葬儀でお困りの方はペット葬儀ホットラインをご活用下さい
私たちペット葬儀マップではペットの火葬等で悩んでいる方々がいつでも相談できる窓口【ペット葬儀ホットライン】を開設しております。
・ペットの安置ってどうやればいいの?
・服装はどうしたら良い?
ペット火葬をする上で心配・不安な事があれば一人で悩まずに、以下のペット葬儀ホットラインにご連絡ください。